教育費と老後資金、どちらを優先すべきか悩む家庭が急増中
子どもの教育費がかかる時期と、自分たちの老後資金の準備を始める時期が重なる――
多くの家庭が、この「ダブル負担」に頭を悩ませています。
特に30〜40代の子育て世帯では、住宅ローンや生活費に加えて教育費が増え、
「老後のために貯めたいけれど、そんな余裕がない」という声が多く聞かれます。
しかし、老後資金を後回しにしてしまうと、将来的に大きな差が生まれることも。
限られた収入の中でも、教育費と老後資金を両立して準備する仕組みづくりが欠かせません。
本記事では、子育て世帯が無理なく資産形成を進めるための考え方と、
実際に使える制度・方法をわかりやすく解説します。
教育費と老後資金を「同時に」考える必要がある理由
1. 教育費のピークは想像以上に早く訪れる
文部科学省の調査によると、
子ども1人あたりの教育費は以下の通りです。
| 教育段階 | 公立の場合 | 私立の場合 |
|---|---|---|
| 幼稚園〜高校まで | 約540万円 | 約1,800万円 |
| 大学(4年間) | 約250万円 | 約550万円〜800万円 |
子どもが高校・大学に進学する頃には、年間で100万円以上の支出になることも珍しくありません。
この時期は住宅ローンや保険料など固定費も重なり、貯蓄に回せるお金が最も少なくなるタイミングです。
2. 老後資金の準備は「時間」が最大の味方
一方、老後資金は退職後の生活に必要なお金。
必要額の目安は、夫婦で2,000万〜3,000万円程度といわれます。
この金額を貯蓄だけで準備するのは容易ではありませんが、
時間を味方につけた長期運用を行えば、月々少額でも十分に達成可能です。
たとえば、
- 月3万円を年利3%で運用した場合
- 30年間で約1,750万円に増加
教育費と違い、老後資金は「今すぐ使う必要がない」ため、
長期投資による複利の力を最大限に活かすことができます。
3. どちらかを後回しにするとリスクが高い
教育費を優先して老後資金を後回しにすると、
子どもが独立した後に貯蓄を始めても時間が足りず、
老後資金が不足するリスクが高まります。
逆に、老後資金を優先して教育費の準備を怠ると、
進学時に奨学金や教育ローンに頼らざるを得なくなり、
結果的に家計の負担が増えてしまうこともあります。
つまり、どちらか一方を犠牲にするのではなく、両立して準備するバランス感覚が重要なのです。
教育費と老後資金のバランスを取る考え方
家計を「3つの財布」に分けて管理する
教育費と老後資金を混同すると、
「今どれくらい貯められているのか」が分かりづらくなります。
成功している家庭は、家計を以下の3つに分けて管理しています。
| 目的 | 内容 | 管理方法 |
|---|---|---|
| 生活費 | 食費・光熱費・住宅費など毎月使うお金 | 生活用口座 |
| 教育費 | 学費・習い事・受験費用など | 教育専用口座 |
| 老後資金 | 投資・積立・退職金など将来の資金 | 投資・年金口座 |
こうしておくことで、
「教育費は順調に貯まっているか」「老後資金は想定通り増えているか」を可視化でき、
どちらかに偏るリスクを防げます。
教育費は「期限付き」、老後資金は「長期投資」
教育費には「使う時期」が明確にあります。
つまり、短〜中期で使うお金として、安全性を重視する運用が基本です。
- 銀行預金
- 定期預金
- 学資保険(返戻率が高いもの)
一方で、老後資金は20年以上の長期運用が前提となるため、
株式・投資信託などリスクを取る資産を組み合わせることが有効です。
| 資産の目的 | 向いている運用方法 | 期間 |
|---|---|---|
| 教育費 | 預金・学資保険 | 短〜中期(5〜15年) |
| 老後資金 | NISA・iDeCo・投資信託 | 長期(20年以上) |
目的に応じてリスクを分散させることで、
「教育費が足りない」「老後資金が減った」といったリスクを最小限にできます。
教育費と老後資金を両立させる3つの鉄則
鉄則①:早く始めるほど「少額で済む」
資産形成は、「始める時期」が最も重要です。
たとえば、老後まで25年ある人と15年しかない人では、
同じ金額を貯めるための毎月負担が大きく異なります。
| 目標額2,000万円を貯める場合 | 運用期間 | 毎月の必要額(年利3%) |
|---|---|---|
| 25年 | 約46,000円 | |
| 15年 | 約86,000円 | |
| 10年 | 約130,000円 |
つまり、「今は子育てで余裕がない」と思っても、少額から始めることが最大の節約です。
積立NISAなどを活用すれば、月1万円でも将来の大きな差につながります。
鉄則②:非課税制度を最大限活用する
税金は「見えないコスト」です。
NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用すれば、
同じ投資でも最終的な手取り額を大きく増やせます。
| 制度 | 特徴 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| つみたてNISA | 年120万円までの投資が非課税 | 老後資金・教育費の一部 |
| 一般NISA | 年240万円まで非課税で運用 | 資産形成全般 |
| iDeCo | 掛金が全額所得控除になる | 老後資金の準備 |
| 学資保険 | 満期時の教育資金確保 | 教育費の基礎作り |
これらを上手く組み合わせることで、
「教育費は安全重視」「老後資金は税制優遇を活用して運用」と分けて準備できます。
鉄則③:固定費の最適化で“余裕資金”を生む
教育費・老後資金のどちらも大事だと分かっていても、
「そもそも貯める余裕がない」という家庭は多いでしょう。
そこで重要なのが、家計の固定費を見直すことです。
通信費・保険・サブスク・住宅ローンなどを最適化すれば、
年間で10万〜30万円程度の余裕資金を確保できます。
この浮いたお金を「教育費」と「老後資金」に自動で振り分けることで、
生活を変えずに両立が可能になります。
教育費と老後資金を両立している家庭の実例
事例①:共働き夫婦・子ども2人(小学生・中学生)
家計のポイント
- 共働きで世帯年収850万円
- 住宅ローン:月10万円
- 教育費:月3万円(習い事+学費)
- 投資:月4万円(つみたてNISA・iDeCo)
この家庭では、支出を固定費と変動費に分けて可視化したうえで、
「毎月使うお金」と「将来のためのお金」を分離しています。
教育費は学資保険と普通預金で確保し、
老後資金は夫婦それぞれのiDeCo・つみたてNISAを活用。
結果、生活の満足度を下げることなく、
毎月の手取りの約15%を資産形成に回すことに成功しています。
事例②:専業主婦家庭・子ども1人(高校生)
家計のポイント
- 夫の年収600万円
- 妻はパートで月収7万円
- 教育費:年間60万円(塾・授業料など)
- 投資:月2万円(つみたてNISA)
この家庭では、教育費のピークを見越して、
早期から学資保険と定期預金で教育資金を準備していました。
高校入学後はその積立をストップし、
浮いた分を老後資金の運用に切り替え。
「子どもの教育にかかるお金の山場を過ぎたら老後にシフトする」
という柔軟な家計戦略で、貯蓄と投資の両立を実現しています。
子育て世帯が資産形成に失敗するパターン
①「教育費を貯めすぎて老後が苦しくなる」
「子どものためなら何でもしてあげたい」と考えるあまり、
貯蓄のほとんどを教育費に充ててしまうケースがあります。
結果、子どもが独立した後に老後資金が残らず、
“教育ローンの親版”のような生活に陥る家庭も。
教育費は「親の生活を犠牲にしない範囲」で、
計画的に設定することが大切です。
②「貯蓄だけに頼る」
金利がほぼゼロの時代に、貯蓄だけで資産形成を目指すのは非効率です。
インフレが進めば、現金の価値は目減りします。
たとえば、物価が年2%上がる状況で貯金100万円を10年間放置すると、
実質的な価値は約82万円まで下がります。
リスクを抑えた長期積立投資(つみたてNISAなど)を取り入れることで、
貯蓄よりも安定して資産を増やすことが可能です。
③「将来の見通しを立てずに支出が膨張」
教育費のピークや住宅ローン完済時期など、
ライフイベントごとの支出を可視化していない家庭は、
“いつの間にかお金が足りない”という状態になりがちです。
定期的にライフプラン表を作成し、
将来の収支バランスを確認することが、安定した資産形成の基盤になります。
教育費と老後資金を両立させる実践ステップ
ステップ①:家計を見える化し「余力」を知る
まずは家計簿アプリを使って、
1か月間の支出をカテゴリ別に記録します。
✅おすすめアプリ
- マネーフォワードME
- Zaim
- Moneytree
固定費と変動費を分けて分析すると、
「本当は必要ない支出」「節約できる項目」が明確になります。
ステップ②:教育費と老後資金の“自動積立”を設定
次に、収入から自動で貯蓄・投資に回る仕組みを作ります。
たとえば、
- 給与口座 → 教育費専用口座へ自動振替
- 同時に投資口座(つみたてNISA・iDeCo)にも自動積立
こうすれば「残ったら貯める」ではなく、
“強制的に貯まる”体質をつくれます。
ステップ③:教育費の出口戦略を立てる
教育費は、大学卒業までの支出総額をざっくり把握し、
「どの時期にいくら必要か」を逆算して計画します。
| 期間 | 主な費用 | 対応策 |
|---|---|---|
| 小学生 | 習い事・塾代 | 家計内で賄う |
| 中学〜高校 | 塾・受験費用 | 学資保険・定期預金で対応 |
| 大学 | 授業料・家賃 | 奨学金・一部投資収益を活用 |
出口を意識することで、
教育資金の使い過ぎを防ぎ、老後資金とのバランスも取りやすくなります。
ステップ④:老後資金は“税優遇+長期運用”で育てる
老後資金は「時間をかけて育てる資産」。
非課税制度を活用しながら、分散・積立・長期の原則を守ることで、
リスクを抑えながら増やせます。
おすすめの組み合わせ:
- つみたてNISA(成長投資枠+積立枠)
- iDeCo(所得控除で節税効果)
- 共済や終身保険(安全資産として併用)
特に共働き家庭では、夫婦それぞれの非課税枠を最大限活用するのがポイントです。
ステップ⑤:年1回の家計レビューで軌道修正
最後に、年に一度は「資産の棚卸し」を行いましょう。
教育費・老後資金・現金・保険のバランスをチェックし、
目標との差を確認します。
この定期的な見直しが、資産形成を“継続できる”最大の秘訣です。
まとめ:子どもと自分の未来、どちらも大切にする家計へ
子育て世帯の資産形成で最も大切なのは、
**「どちらかを我慢する」ではなく「両立する発想」**です。
教育費は「子どもの未来への投資」、
老後資金は「自分たちの安心への投資」。
両方をバランス良く準備するためには、
- 早めに始める
- 税制優遇を活用する
- 家計を自動化する
この3つを意識するだけで、将来の不安が大きく減ります。

