配当金にも節税のチャンスがある!知らないと損する税金の仕組み
株式投資をしていると、企業からの「配当金」を受け取ることがあります。
投資の醍醐味の一つですが、この配当金には税金がかかることをご存じでしょうか。
多くの投資家は、証券会社が自動で税金を差し引く「源泉徴収あり特定口座」を利用しており、特別な手続きなしに完結しています。
しかし、実はそのまま放置していると余分な税金を払っている可能性があるのです。
そのカギとなるのが「配当控除」という制度。
上手に活用すれば、同じ配当金でも手取り額を数万円単位で増やすことが可能です。
本記事では、初心者にもわかりやすく「配当控除の仕組み」と「総合課税・申告分離課税のどちらを選ぶべきか」を丁寧に解説します。
配当金の課税方法は3種類ある
配当金は、所得税法上「配当所得」として扱われます。
課税方法は大きく分けて次の3つです。
| 区分 | 課税方式 | 損益通算 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 源泉分離課税 | 申告不要 | × | 特定口座(源泉徴収あり)で完結、最も一般的 |
| 総合課税 | 確定申告必要 | × | 配当控除を使える、所得によって税率が変動 |
| 申告分離課税 | 確定申告必要 | ○ | 売却損との損益通算が可能 |
この中で、配当控除が使えるのは「総合課税」方式のみです。
配当控除とは、二重課税を防ぐために、配当金の一部を所得税や住民税から差し引く制度。
つまり、総合課税を選ぶことで、「支払った税金の一部が戻ってくる」可能性があります。
配当控除の仕組みをわかりやすく解説
企業が利益を出した際、その利益には法人税がかかります。
その後に株主に配当金を支払うと、株主にも所得税がかかります。
このように法人レベルと個人レベルの二重課税が発生するため、税制上の調整として配当控除が設けられています。
配当控除の控除率
| 所得区分 | 所得税控除率 | 住民税控除率 |
|---|---|---|
| 上場株式等の配当 | 10% | 2.8% |
| 非上場株式の配当 | 5% | 1.4% |
たとえば、上場株式の配当で10万円を受け取った場合、総合課税を選択して確定申告をすれば、最大で約1万2,800円の税額控除が受けられることになります。
総合課税と申告分離課税の違いを整理しよう
配当控除を受けられるのは総合課税のみですが、すべての人にとって有利とは限りません。
自分の所得水準や投資状況によって、どちらの課税方式を選ぶべきかが変わります。
以下に両者の違いを比較してみましょう。
| 比較項目 | 総合課税 | 申告分離課税 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 配当金全般 | 株式・投資信託の譲渡所得や配当 |
| 適用可能な控除 | 配当控除 | 損益通算 |
| 税率 | 所得に応じて変動(5%〜45%) | 一律20.315% |
| 有利になるケース | 所得が少ない人 | 所得が多い人、損失がある人 |
| 手続き | 確定申告が必要 | 確定申告が必要(損失通算時) |
どちらを選ぶと得になる?ケース別で比較
課税方式の選択で迷う最大のポイントは、「自分にとってどちらが節税になるか」です。
ここでは、代表的なケースをもとに有利・不利を見ていきましょう。
ケース1:年収300万円の会社員
所得税率は5%。
総合課税で申告すれば、**配当控除(10%)>所得税率(5%)**となり、税金が戻る可能性があります。
→ 総合課税が有利。
ケース2:年収800万円の会社員
所得税率は20%。
配当控除の10%より高くなるため、追加の課税が発生。
→ 源泉分離または申告分離課税のままが有利。
ケース3:株式で損失がある投資家
配当金と売却損を損益通算できるのは申告分離課税のみ。
→ 繰越控除や損益通算を使いたい場合は申告分離課税が有利。
このように、配当控除を狙うか、損益通算を狙うかが選択の分かれ目です。
総合課税を選ぶときの注意点
配当控除を最大限に活かすためには、総合課税を選ぶ際に以下の点に注意しましょう。
① 所得税率が高い人は逆効果になる
総合課税では所得が増えるほど税率も上がります。
年収900万円以上の層では、配当控除よりも追加課税のほうが多くなる場合があるため注意が必要です。
② 住民税の申告は別処理にできる
確定申告で総合課税を選ぶと、住民税も自動的に総合課税扱いになります。
しかし自治体に申請すれば、住民税だけ「申告不要」にすることも可能。
これにより、住民税部分の追加課税を防ぐテクニックもあります。
③ NISAの配当は申告不要
NISA・新NISA口座で受け取る配当金は非課税のため、申告の必要も控除もありません。
NISAと課税口座を混同しないように注意しましょう。
e-Taxでの申告手順と課税方式の選び方
配当控除を受けるには確定申告が必要ですが、実際の操作は難しくありません。
ここでは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxを使った基本手順を説明します。
1. 所得の種類を選択する
確定申告書の作成画面で「株式等の譲渡所得」や「配当所得」を選択します。
このとき、「上場株式等の配当等」にチェックを入れて進みましょう。
2. 配当金額の入力
証券会社から送付される「年間取引報告書」に記載されている配当金額を入力します。
複数の証券会社を利用している場合は、すべての取引報告書を合算します。
3. 課税方式の選択
入力画面で「総合課税」または「申告分離課税」を選択します。
総合課税を選ぶと自動的に「配当控除」の計算が反映されます。
一方で、損益通算を行いたい場合は「申告分離課税」を選びましょう。
4. 税額の確認と送信
すべての入力が終わると、所得税・住民税の還付または追徴額が表示されます。
確認後、e-Taxで電子送信または紙で提出します。
実際の節税効果をシミュレーション
では、実際に総合課税を選ぶことでどれほど税金が減るのかを、具体的に見てみましょう。
例:年収300万円・配当金20万円の場合
| 項目 | 源泉分離課税 | 総合課税(配当控除適用) |
|---|---|---|
| 所得税率 | 一律20.315% | 5%(所得税)+10%控除 |
| 税額 | 約4万円 | 約1万円前後 |
| 差額 | ― | 約3万円の節税効果 |
所得税率が低い人ほど、配当控除の効果が大きくなります。
また、年収が少ない人ほど還付金として戻ってくるケースもあります。
例:年収900万円・配当金30万円の場合
| 項目 | 源泉分離課税 | 総合課税(配当控除適用) |
|---|---|---|
| 所得税率 | 一律20.315% | 23%+10%控除 |
| 税額 | 約6万円 | 約7万円 |
| 差額 | ― | 約1万円の追加課税(不利) |
このように、所得税率が20%を超える中〜高所得者は、総合課税にするとむしろ損をすることがあります。
年収別:どちらの課税方式が有利か目安表
| 年収 | 有利な方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 〜400万円 | 総合課税 | 配当控除が効き、税金が減る |
| 400〜700万円 | ケースバイケース | 所得控除や他の収入次第 |
| 700万円〜 | 申告分離課税 | 総合課税だと追加課税の可能性が高い |
| 株式で損失あり | 申告分離課税 | 損益通算が可能 |
この表を参考に、自分の所得と投資状況に合わせて判断するのがベストです。
配当控除を使うときの落とし穴と注意点
便利な制度ですが、次の3つの点を見落とすと損をしてしまうことがあります。
① 住民税の申告方法を別にできる
確定申告で総合課税を選ぶと、原則として住民税も総合課税扱いになります。
しかし、自治体に「申告不要制度」を利用すれば、住民税だけ源泉分離課税のままにすることが可能です。
これにより、所得税だけ配当控除を受け、住民税は上がらないという柔軟な節税ができます。
② 配当と損失の通算はできない
総合課税を選ぶと、株式の売却損と配当金を相殺できません。
損益通算や繰越控除を活かしたい人は申告分離課税を選びましょう。
③ 年間取引報告書をなくさない
確定申告には証券会社の「年間取引報告書」が必要です。
電子データでもよいので、各社マイページからダウンロードしておきましょう。
配当控除と他の節税制度を組み合わせる
投資の税金対策は、配当控除だけではありません。
他の制度と組み合わせることで、さらに節税効果を高められます。
小規模企業共済・iDeCoとの併用
総合課税では、配当金も含めた所得に対して所得控除が効きます。
したがって、iDeCoや小規模企業共済に加入している場合、配当金の課税対象額をさらに減らせるというメリットがあります。
損益通算とのバランス調整
もし株式売買で損失が出ている場合は、配当控除よりも申告分離課税を選び、損益通算+繰越控除を優先するほうが有利になるケースが多いです。
配当控除を使った確定申告チェックリスト
申告前に以下の項目を確認しておくと、スムーズに進められます。
✅ 証券会社の年間取引報告書をすべて取得
✅ 配当金の金額を合算して把握
✅ 課税方式(総合課税/申告分離課税)を決定
✅ 配当控除の適用有無を確認
✅ 住民税を「申告不要」にするか判断
✅ e-Taxまたは紙で申告書を作成
このチェックリストを実行すれば、申告ミスや損失を防ぎつつ、確実に節税効果を得られます。
まとめ:自分の所得に合わせた課税選択が鍵
配当控除は、投資家にとって見逃せない節税チャンスです。
ただし、「総合課税が必ず得」とは限らず、年収や投資状況によって最適解は異なります。
- 所得が少ない人:総合課税で配当控除を活用し、税金還付を狙う
- 所得が多い人:申告分離課税で追加課税を回避
- 損失がある人:申告分離課税で損益通算を優先
つまり、配当控除を最大限に活かすには、「自分の所得水準を理解した上で課税方式を選ぶ」ことが重要です。
今すぐ行動!あなたがやるべき3ステップ
1️⃣ 証券会社の年間取引報告書を確認
2️⃣ 年収と課税方式(総合/分離)の有利不利を試算
3️⃣ e-Taxで申告して配当控除または損益通算を適用
この3ステップを実践すれば、次回の配当金から無駄な税金を支払うことなく、手取りを最大化できます。

