仮想通貨と株の税金を比較|どちらが有利?課税ルールの違いと節税ポイント

仮想通貨と株の税金の違いを比較するイラスト。ビットコインやグラフ、TAX書類を背景に、悩む男性が描かれ、仮想通貨と株式投資の課税ルールをわかりやすく表現している。
目次

仮想通貨と株、どちらの税金が得なのか気になる人へ

投資を始めるとき、多くの人が「税金の仕組みって難しそう」と感じます。
特に仮想通貨(暗号資産)と株式投資では、利益が出たときの税金ルールがまったく異なります。

たとえば、同じ100万円の利益でも、

  • 株式投資では「約20万円の税金」で済むケースもあれば、
  • 仮想通貨では「最大で45万円以上」になることもあります。

この差を知らずに投資を始めると、思わぬ税負担に驚くことになるかもしれません。
本記事では、仮想通貨と株の税金の違いを初心者向けにわかりやすく比較し、どちらが有利なのか、どう対策すればいいのかを丁寧に解説します。


仮想通貨と株式投資の税金ルールを整理しよう

まずは、両者の課税方法を比較して全体像を把握しておきましょう。
税金の仕組みを理解することが、節税やリスク回避の第一歩です。

仮想通貨と株式投資の税金比較表

項目株式投資仮想通貨(暗号資産)
所得区分譲渡所得(申告分離課税)雑所得(総合課税)
税率一律20.315%(所得税+住民税)累進課税(5〜45%)+住民税10%
損益通算同一区分内で可能(株式間)原則不可(他の所得と通算不可)
損失繰越3年間可能不可
申告の要否源泉徴収あり口座なら原則不要利益が出たら原則申告必要
控除・非課税制度NISA・iDeCoなどあり現状なし

この表からわかるように、税制面では株式投資の方が圧倒的に優遇されています。
仮想通貨はまだ制度が整備途中のため、税率が高く、控除制度もありません。


仮想通貨の税金は「総合課税」で計算される

仮想通貨の利益は、雑所得として総合課税の対象になります。
これは、給与所得や副業収入などと合算して税金を計算する仕組みです。

たとえば、会社員の年収が500万円、仮想通貨で100万円の利益を得た場合、
合計所得は600万円となり、所得税率が上がる可能性があります。

仮想通貨の税率(総合課税)

所得金額税率(所得税+住民税)
195万円以下約15%
330万円以下約20%
695万円以下約30%
900万円以下約33%
1,800万円以下約43%
4,000万円超約55%

つまり、所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」方式です。
仮想通貨で大きく利益を上げると、半分近くが税金として差し引かれることもあるため、注意が必要です。


株式投資の税金は「申告分離課税」で一律20.315%

一方、株式投資の利益(譲渡益や配当)は、申告分離課税の対象です。
税率は所得に関係なく一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)となります。

特定口座(源泉徴収あり)を選べば自動で納税完了

証券会社で口座を開設する際に「源泉徴収あり特定口座」を選べば、
株の売却益や配当にかかる税金は自動で引かれます。
そのため、原則として確定申告の必要はありません。

このように、株式投資は初心者でも税務上の手間が少なく、
仮想通貨と比べて非常に扱いやすい仕組みになっています。


税金の重さを比較すると仮想通貨が不利?

では、実際に同じ利益を得た場合、どれくらい税金が違うのかを見てみましょう。

仮想通貨と株式投資の税額比較(例:利益100万円)

年収株式投資の税額(20.315%)仮想通貨の税額(累進課税)
300万円約20.3万円約20万円(税率20%)
500万円約20.3万円約30万円(税率30%)
800万円約20.3万円約33万円(税率33%)
1,200万円約20.3万円約43万円(税率43%)

※住民税含む目安

このように、年収が上がるほど仮想通貨の税負担が大きくなるのが特徴です。
逆に、所得が低い人にとっては仮想通貨の税率が低く抑えられる場合もあります。


なぜ株式投資の税金は優遇されているのか

株式投資は国が積極的に推進している「資産形成の手段」として位置づけられています。
そのため、長期投資を促進する目的で、税制面でも優遇が図られているのです。

株式投資の税優遇制度

  • NISA(少額投資非課税制度)
     → 投資で得た利益が非課税(年間最大360万円まで投資可)
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
     → 掛金が全額所得控除、運用益も非課税
  • 損益通算・損失繰越制度
     → 損失を3年間繰り越して利益と相殺可能

これらの制度を活用すれば、投資で利益を上げながらも税負担を大幅に抑えることができます。

一方、仮想通貨にはまだこうした非課税制度がありません。
政府が資産形成として認めるまで、しばらくは課税面での不利が続くと考えられます。


仮想通貨と株式投資の損益通算の違い

税金の世界では、「損益通算」ができるかどうかが節税のカギになります。

株式投資の場合

株式や投資信託など同じ「申告分離課税」の区分であれば、損益通算が可能です。
たとえば、A株で+50万円、B株で−30万円なら、
差し引き+20万円に対して課税されます。

また、損失が大きく利益を相殺しきれなかった場合でも、
翌年以降3年間まで繰り越しが認められます。

仮想通貨の場合

仮想通貨の損失は「雑所得」として扱われるため、他の所得と通算できません。
たとえば仮想通貨で50万円の損失を出しても、給与や株の利益と相殺できないのです。
そのため、仮想通貨は損益通算や繰越の観点でも不利な立場にあります。

仮想通貨と株を組み合わせて節税する戦略

税制上の不利を踏まえたうえで、「仮想通貨」と「株式投資」を上手に組み合わせれば、リスクを抑えつつ税金対策も可能です。
ここでは、実践的な節税戦略を3つ紹介します。

戦略①:NISAを活用して株の利益を非課税に

株式投資では、NISA(少額投資非課税制度)を使えば、投資で得た利益に税金がかかりません。
仮想通貨で課税リスクが高い分、株式ではNISA枠を最大限に活用することでトータルの税負担を軽減
できます。

NISAのポイント:

  • 年間最大360万円までの投資が非課税
  • 利益・配当金ともに非課税
  • 途中売却しても非課税枠は再利用可能(新NISA制度)

仮想通貨でリスクを取りつつ、株式で安定的に非課税投資を行うバランス型の戦略がおすすめです。


戦略②:仮想通貨は長期保有・利益確定のタイミングを分散

仮想通貨の税金は、利益を確定したタイミングで発生します。
つまり、利益を出しても「売らなければ課税されない」という仕組みです。

そのため、税率の高い年に一気に利益を確定するのではなく、
複数年に分けて売却することで、累進課税の影響を軽減できます。

例:

  • 2024年:利益を30万円だけ確定
  • 2025年:残り70万円を確定

このように分割すれば、所得税率が上がらず、結果的に手取りが増えるケースもあります。


戦略③:損益を管理し、必要なら早めに確定申告を

仮想通貨は損益通算ができないため、年ごとに損益を正確に記録しておくことが非常に重要です。
取引履歴は取引所からダウンロードできますが、複数の取引所を利用している人は、損益計算ツールを使うのがおすすめです。

よく使われる損益計算ツール

  • クリプタクト(Cryptact)
  • Gtax(ジータックス)
  • コインタックス(Cointax)

これらを使えば、確定申告時の書類作成もスムーズに行えます。
「まだ利益は少ないから」と油断せず、取引履歴を毎年整理しておくことが節税の第一歩です。


投資スタイル別:どちらが有利かを整理

税制だけでなく、投資スタイルによって「どちらが向いているか」も変わります。
以下の比較表を参考に、自分の目的に合った投資を選びましょう。

投資スタイル株式投資が有利な理由仮想通貨が有利な理由
長期投資NISA・iDeCoで非課税にできる成長余地が大きく、値上がり益が狙える
短期売買20.315%で固定税率、管理が簡単値動きが激しく短期利益を狙いやすい
副業感覚源泉徴収あり口座で手間なし少額でも始めやすい、手軽に取引可能
節税重視控除制度が豊富、損益通算も可能累進課税の低所得層なら税率が低い

このように、安定性・手間・節税のしやすさを重視するなら株式投資、リスクを取ってリターンを狙うなら仮想通貨という棲み分けが理想です。


仮想通貨・株の確定申告で注意すべきポイント

確定申告を行う際には、次のような点に注意しましょう。
とくに仮想通貨の取引は見落としやすい部分が多いため、慎重に対応することが大切です。

株式投資の確定申告

  • 源泉徴収あり特定口座なら申告不要(自動で完結)
  • 損益通算・損失繰越をする場合のみ申告が必要
  • 配当を含めた配当控除の適用も可能

仮想通貨の確定申告

  • 利益が20万円超になったら申告が必要
  • 他の所得と合算して税額を算出
  • 取引履歴を元に損益を正確に計算する必要あり
  • 海外取引所での取引も原則申告対象

税務署からの問い合わせが入るケースもあるため、証拠となる書類や取引履歴は最低7年間保管しておきましょう。


今後の税制改正の可能性と動向

現在、政府は「資産所得倍増プラン」の一環として、仮想通貨の税制見直しを検討しています。
とくに「申告分離課税の導入」や「損益通算の容認」など、株式投資と同様の扱いに近づける方向性が議論されています。

もしこれが実現すれば、

  • 税率が一律20%前後に
  • 仮想通貨間の損益通算が可能に
    といった形で、投資家にとって大きな追い風となります。

税制改正のニュースを定期的にチェックし、変更があれば確定申告の前に確認する習慣をつけましょう。


投資と税金を両立するためにやるべき行動ステップ

最後に、これから投資を始める人が実践すべき「行動の流れ」を整理します。

ステップ①:投資目的を明確にする

  • 短期で利益を得たいのか、長期で資産を築きたいのか
  • 目的によって税金対策の方向性も変わる

ステップ②:口座の種類を正しく選ぶ

  • 株なら「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶ
  • 仮想通貨は「複数取引所を使わず、記録を一本化」する

ステップ③:非課税制度をフル活用

  • 株式投資はNISA・iDeCoを最大限利用
  • 仮想通貨は売却時期を分散して課税負担を調整

ステップ④:年末までに利益を把握して調整

  • 利益確定・損切りのタイミングをコントロール
  • 翌年の税率を見越した取引を行う

ステップ⑤:申告ミス防止のためのデータ管理

  • 仮想通貨取引所の履歴を定期的に保存
  • 会計ソフトや税理士サービスを活用する

まとめ:仮想通貨と株の税制を理解して賢く投資しよう

仮想通貨と株は、投資対象としては似ていても、税金の仕組みは大きく異なります。
株式投資は一律課税で制度的な優遇があり、仮想通貨は累進課税で所得によって税率が変動します。

しかし、どちらが有利かは「投資額」「年収」「目的」によって違うのです。
大切なのは、税制を理解したうえで最適な方法を選び、税金を「コスト」としてコントロールすること。

株式と仮想通貨をバランスよく組み合わせ、
非課税制度や確定申告を上手に活用することで、あなたの資産形成をより効率的に進めることができます。

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