ボリンジャーバンド入門｜値動き予測とトレード戦略を初心者向けにわかりやすく解説

ボリンジャーバンド入門をイメージした図解。ローソク足チャートの上下にボリンジャーバンドの線が描かれ、タブレットを持った男性が指でトレンドを指し示す親しみやすいデザイン。

ボリンジャーバンドとは？値動きの「範囲」を読むテクニカル指標

株価の動きを予測するうえで、重要なのは「今の価格が高いのか安いのか」を判断することです。
その判断を助けてくれるのが、**ボリンジャーバンド（Bollinger Bands）**というテクニカル指標です。

ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に「価格がどの範囲で動くか」を統計的に示す分析ツール。
一見難しそうに見えますが、基本を押さえれば初心者でもすぐに活用できます。

ボリンジャーバンドを使うことで、次のような判断ができるようになります。

今の株価が買われすぎなのか、売られすぎなのか
価格がトレンドを形成しているのか、レンジ（横ばい）なのか
今後、価格が上に抜けるのか下に抜けるのか

この記事では、ボリンジャーバンドの基礎から、トレード戦略への応用までをわかりやすく解説します。

株価の動きは「確率」で予測できる

ボリンジャーバンドの考え方は、「統計学」に基づいています。
過去の値動き（価格データ）の平均とばらつきをもとに、「どの範囲に収まる確率が高いか」を示す仕組みです。

たとえば、価格が平均からどれくらい離れて動くかを表す**標準偏差（σ：シグマ）**を利用し、
一定の確率範囲をラインで描きます。

バンド	範囲	価格が収まる確率（目安）
±1σ	移動平均から上下1σ	約68.3%
±2σ	移動平均から上下2σ	約95.4%
±3σ	移動平均から上下3σ	約99.7%

つまり、±2σの範囲内に価格が収まる確率は95％以上。
このラインをチャート上に描くことで、「今の株価が想定の範囲内かどうか」を視覚的に判断できるのです。

ボリンジャーバンドの構成と見方

ボリンジャーバンドは、以下の3つの要素で構成されています。

名称	内容	意味
中心線	移動平均線（一般的に20日）	株価の平均的な動き
上部バンド（＋1σ〜＋3σ）	平均値＋標準偏差	買われすぎゾーン（高値圏）
下部バンド（−1σ〜−3σ）	平均値−標準偏差	売られすぎゾーン（安値圏）

バンドの幅が広がると「ボラティリティ（変動率）」が高くなり、
狭くなると「落ち着いた相場」を示します。

バンドの膨張と収縮を見ることで、
トレンドの勢いや転換のタイミングを読み取ることができるのが特徴です。

バンドの膨張・収縮からわかる相場の変化

ボリンジャーバンドの魅力は、単なる「価格範囲の指標」ではなく、
相場の“息づかい”を感じ取れる点にあります。

バンドが狭い（収縮している）＝エネルギーが溜まっている

株価の変動が小さい（レンジ相場）
売り買いが均衡し、次のトレンド発生の準備段階
「バンドウォーク」や「スクイーズ」と呼ばれる現象

💡ポイント：バンドが極端に収縮しているときは、近く大きな値動きが発生する可能性があります。

バンドが広い（拡大している）＝トレンド発生中

株価が上昇または下降の勢いを持って動いている
トレンドが始まったサイン
価格が上限バンド（＋2σ）や下限バンド（−2σ）に沿って動く「バンドウォーク」が見られる

💡ポイント：拡大局面で逆張り（反対売買）をすると、損失を出しやすいので注意。
この段階では「順張り（トレンドに乗る）」が基本です。

ボリンジャーバンドの使い方：3つの基本戦略

初心者がまず覚えるべきボリンジャーバンドの使い方は、以下の3つです。

① 逆張り戦略（反発狙い）

株価が下限バンド（−2σまたは−3σ）まで下落
→ 売られすぎの状態で反発の可能性
上限バンド（＋2σまたは＋3σ）まで上昇
→ 買われすぎの状態で下落の可能性

状況	サイン	行動
−2σ以下に接触	売られすぎ	買いエントリー検討
＋2σ以上に接触	買われすぎ	売り・利確検討

💡注意点：強いトレンド中はこの逆張りが通用しないことも多いです。
上昇トレンドなら「買われすぎ」のまま上昇を続けることがあります。

② 順張り戦略（トレンドフォロー）

株価が上限バンド（＋2σ）をブレイク
→ 上昇トレンドに勢いが出始めたサイン
株価が下限バンド（−2σ）をブレイク
→ 下落トレンドが強まるサイン

状況	サイン	行動
＋2σ上抜け	強気トレンド開始	買いエントリー
−2σ下抜け	弱気トレンド開始	売りエントリー

💡ポイント：移動平均線が上向き・下向きであることを確認してからエントリーすると、
ダマシ（誤ったシグナル）を減らせます。

③ スクイーズからのブレイク戦略

「スクイーズ」とは、ボリンジャーバンドが極端に狭まっている状態を指します。
この状態の後には、**大きな値動き（ブレイクアウト）**が起こることが多いです。

状況	サイン	行動
バンドが収縮中	エネルギー蓄積	様子見・監視
株価が＋2σ上抜け	上方向ブレイク	買いエントリー
株価が−2σ下抜け	下方向ブレイク	売りエントリー

💡ポイント：出来高が増加していれば、ブレイクの信頼度がさらに高まります。

他の指標と組み合わせると精度が上がる

ボリンジャーバンド単体でもトレンド分析は可能ですが、
他のテクニカル指標と併用することで、より信頼性の高いシグナルが得られます。

RSI（相対力指数）との併用

RSIが30以下（売られすぎ）＋株価が−2σ以下
→ 反発の可能性大（買いサイン）
RSIが70以上（買われすぎ）＋株価が＋2σ以上
→ 利確・売り検討サイン

MACDとの併用

株価が＋2σをブレイク＋MACDがゴールデンクロス
→ 強い買いトレンド発生
株価が−2σを割り込み＋MACDがデッドクロス
→ 下落トレンドの加速

💡補足：ボリンジャーバンドは「価格の位置関係」、RSIやMACDは「勢い」を示すため、組み合わせると相互補完できます。

実際のチャートで見るボリンジャーバンドの使い方

ボリンジャーバンドは理論的な指標ですが、実際の相場でどう活かすかが重要です。
ここでは、初心者が理解しやすい3つの典型パターンを紹介します。

① 上昇トレンド中のバンドウォーク

上昇相場では、株価が上限バンド（＋2σ）に沿って動く「バンドウォーク」と呼ばれる現象が起こります。
これは、強い買い圧力が続いているサインです。

状況	サイン	行動
株価が＋2σラインに沿って推移	強気トレンド継続	押し目買いでエントリー
移動平均線が上向きで、バンドも拡大中	トレンドの勢い強	買いポジションを維持

💡注意点：＋2σを一時的に超えたからといって「買われすぎ」と判断して売るのは早計です。
トレンド中は＋2σ付近で高止まりすることがよくあります。

② 下降トレンド中のバンドウォーク

下降相場では、株価が下限バンド（−2σ）付近で動く「バンドウォーク（下落版）」が発生します。
この場合は、売り圧力が継続している状態を意味します。

状況	サイン	行動
株価が−2σに沿って下落	弱気トレンド継続	戻り売り・保有株の整理
バンド幅が拡大	下落加速	損切りを早めに検討

💡注意点：安易に「下がりすぎたから買う」と逆張りするのは危険です。
下限バンドが伸びている間は、反発の兆候が出るまで待ちましょう。

③ スクイーズ後のブレイクアウト

「スクイーズ」とは、ボリンジャーバンドが極端に狭まった状態。
この静かな状態の後に、大きなトレンド転換が起こることがあります。

状況	サイン	行動
バンド幅が極端に狭い	エネルギーが溜まっている	様子見・監視
バンド拡大＋上抜け	上昇トレンド開始	買いエントリー
バンド拡大＋下抜け	下落トレンド開始	売りエントリー

💡ポイント：出来高が増加しているかどうかも確認。
出来高が伴ってブレイクした場合、信頼度は非常に高いです。

初心者が失敗しやすいポイントと注意点

ボリンジャーバンドは便利な反面、使い方を誤ると逆効果になります。
特に初心者が陥りやすい3つの落とし穴を見ていきましょう。

1. バンドの“端”だけで売買してしまう

「＋2σに触れた＝売り」「−2σに触れた＝買い」と短絡的に判断するのは危険です。
バンドタッチは「勢いがある」ことも示すため、トレンド中はむしろ継続サインになることがあります。

💡解決策：移動平均線の傾きや出来高を合わせて確認する。
傾きが緩やかなら反転の可能性、鋭く上向いているならトレンド継続の可能性が高いです。

2. トレンドの方向を無視した逆張り

逆張りは一見魅力的ですが、強いトレンド中に行うと損失を出しやすいです。
ボリンジャーバンドは「トレンドの強さ」を示す指標でもあるため、
バンドが広がっているときは順張りが基本です。

💡目安：バンドが拡大している＝トレンド相場。
バンドが収縮している＝レンジ相場。
この違いを見極めることが成功の鍵です。

3. 設定期間を変えすぎる

初心者の中には「もっと精度を上げよう」と期間を頻繁にいじる人がいます。
しかし、期間を変えるとシグナルの感度も変わり、再現性が下がります。

💡基本設定：移動平均線20日、±2σバンドが最も一般的。
短期売買なら14日、長期なら25〜50日に変更する程度が目安です。

ボリンジャーバンドの設定と調整ポイント

証券会社のチャートツール（例：SBI証券、楽天証券、TradingViewなど）で簡単に設定できます。

項目	標準設定	調整の目安
期間（移動平均）	20日	短期トレード＝10〜14日、長期投資＝25〜50日
標準偏差（σ）	2	感度を上げたいときは1.5、鈍くしたいときは2.5
バンド数	±2σまたは±3σ	±3σは極端な値動きを確認したい時に使用

設定を変えると、過去の値動きとの相性も変わるため、
まずは標準設定のままで相場感を掴むのが基本です。

他のテクニカル指標との併用で精度を高める

ボリンジャーバンドは単独でも強力ですが、
他の指標と組み合わせることで「信頼できるエントリーポイント」が見えてきます。

組み合わせ	意味・効果	活用法
ボリンジャーバンド × RSI	過熱感の確認	RSI30以下＋−2σ付近→買いサイン
ボリンジャーバンド × MACD	トレンド方向の確認	＋2σ突破＋MACDゴールデンクロス→上昇初動
ボリンジャーバンド × 出来高	勢いの裏付け	ブレイク時に出来高増加→信頼性UP

このように、複数指標を重ねて確認することで、
ダマシ（誤信号）を減らし、勝率を高めることができます。